本郷どうぶつ病院

犬アトピー性皮膚炎Canine Atopic Dermatitis

1. 犬アトピー性皮膚炎の知識

2. 犬アトピー性皮膚炎の管理・治療

3. 犬アトピー性皮膚炎のよくある質問

2. 犬アトピー性皮膚炎の管理・治療

インターフェロン療法 -免疫的治療法-

インターフェロン療法の特徴

・有効率 :約70%
・効果発現:遅い
・副作用 :少ない
・費用  :高価

インターフェロン療法とは

インターフェロン(インターフェロンγ)は、2005年に犬で認可された薬です。現在獣医学のほとんどの治療薬は欧米から開発されていますが、犬用のインターフェロンγは日本開発の薬です。人ではインターフェロンγはC型肝炎や腫瘍の治療で使用されています。

アレルギーの機序の一つとして、体内の免疫物質の不均衡により、症状が現れるという理論があります。この免疫物質のバランス(サイトカインバランス)を調整することで、アトピーの症状を緩和させるという薬で、皮膚の炎症に直接作用するのではなく、より体質改善に近い治療となります。

インターフェロン療法の良い点

症状を抑えるだけの治療とは異なりますので、より体質改善に近い治療が期待できます。現在投与中のステロイドを減量したり、中止できるところまで治療できることもあります。

このお薬自体の副作用もほとんどありません。

インターフェロン療法の欠点

最大の欠点は注射薬というところです。認可通りに使用すると週3回の注射が必要です。週1回の投与でも効果が見られますが、3回投与に比べると効果が見られるまでの期間が長くなってしまいます。ただし、薬を飲ませられない犬には使用しやすいと言えるでしょう。

このお薬は比較的高価です。ただし近年薬価が下がりましたので、より身近な治療となっています。また症状が落ち着いてくれば、投与間隔を開けていきますので、使用量は減ります。

また有効かどうかの判定には約1ヶ月かかります。炎症を直接抑える薬ではありませんので、効果が表れるのはゆっくりとなります。また有効率は約70%ですので、1ヶ月使用しても効果がないという結果になってしまう場合もあります。

新しい治療法ですので、長期的な管理方法が確立されていません。当院では症状に応じて飼主様と相談しながら維持療法を検討しています。

インターフェロン療法の使い方

ステロイドが使用しづらい場合や、減らせない場合などは積極的に使用します。ただしステロイドを完全に止めるというよりは、少しでも減らすということを目標にした方が、特に短期的なかゆみをコントロールしやすくなります。

また発症間もない若い犬ではインターフェロン療法の反応が良い場合があります。

このお薬はあくまで「アトピー性皮膚炎」の治療薬ですので、他の皮膚病には効きません。したがってより正確な診断が要求されます。

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