身近にある動物の中毒
家庭内にある日用品や食品の中には、動物に重大な中毒を起こす物があります。これらの情報、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA:The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals)で毎年報告されています。以下に例を挙げますので、注意してください。
人用(飼主用)の医薬品
- アメリカでは毎年1位、当院でも相談が多い
- 飼主が勝手に与える、盗み食い、拾い食いなど
- 鎮痛薬、風邪薬、抗うつ薬、栄養補助食品など
- アセトアミノフェン:毒性が極めて強く、猫では死亡する
(「バファリン」「ノーシン」「宇津こども熱さまし」などの解熱鎮痛剤・風邪薬) - イブプロフェン:毒性が強く、犬で重度の腎障害を起こす
(「イブA」「ナロンエース」「ベンザブロックIP」などの解熱鎮痛剤・風邪薬)
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- 獣医師の指導なしに動物に医薬品を与えないこと
- 医薬品の管理は徹底すること
殺虫剤
- 殺ノミ剤、殺ダニ剤、その他の殺虫剤
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- ノミ・ダニの駆除薬は、製品の用量・用法を必ず守ること
- 薬に特別過敏な体質を持つ動物もいる。そのような場合は使わない
動物用医薬品
- 非ステロイド系抗炎症薬、フィラリア予防薬、消化管寄生虫駆虫薬、抗生物質、ワクチン、栄養補助食品など
- 9割以上は飼い主が大量に投与してしまったことが原因(ASPCAの報告より)
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- 用量・用法を厳守する
- ノミ・ダニ予防薬は指定された動物種を守ること
チョコレート
- チョコレートは大量の脂肪とカフェイン様物質(メチルキサンチン)を含んでいる
- ブラックチョコレートの方が、有害成分が多い
- 焼きチョコレートはメチルキサンチンが多く、5kgの犬が50グラム食べると重大な問題を引き起こす
- 大量に食べた場合:嘔吐、下痢、あえぎ、多飲多尿、異常な活動性が起こる
- 重症例:不整脈、ふるえ、発作。死亡することもある
- 解毒剤はない
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- チョコレートは与えない
その他の人の食べ物
- ネギ・タマネギ・ニラ・ニンニクなどは貧血を起こす
- ブドウ・レーズンは腎不全を起こす。原因はまだ分かっていない
- マカダミアン・ナッツは致命的となることがある
- アボカド(特にグアテマラ産)は心筋障害を起こすことがある
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- 人の食べ物を安易に与えない
植物
- ユリ、アザレア、ツツジ、サゴヤシ、カランコエ、シェフレラなど
- 特にサゴヤシの実は嘔吐、下痢、沈鬱、発作、肝不全を起こす
- ユリは猫に極めて有害:少量でも致命的な腎不全を起こす
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- 有害な植物に動物を近づけない
- 有害ではない植物も、軽度の胃障害を起こすことがあるので、かじらせない
殺鼠剤
- 殺鼠剤の種類と量により、致命的な状況になる
- 出血、発作、腎臓やその他の臓器の障害が起こる
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- 殺鼠剤を置く時は、動物が触れない場所に置くこと
家庭用洗剤
- 漂白剤、洗剤、消毒剤
- 胃腸の炎症、口の薬品焼けを起こす
- 吸入時は気道の炎症を起こす
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- 家庭用洗剤や化学薬品は動物が触れない安全な場所に保管する
- お皿やオモチャなどのペット用品を洗う場合、食器用中性洗剤と温水で洗うのが良い
化学物質
- 揮発性の石油系製品、アルコール、酸、ガスなど
- 多種多様な問題を引き起こす(胃腸障害、呼吸困難、薬品焼けなど)
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- エチレングリコール不凍液、ペンキ用シンナー、配水管クリーナー、プールや温泉用の薬品に注意
物理的な危険
- 中毒物質ではないが、身体に有害となり得るもの(首が絞まる、腸が詰まるなど)
- 首輪や接着テープのようなものから、骨、紙製品など
- ゴミ袋に顔を突っ込んで、窒息する例も多数あり
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- 動物が持っていってしまい、壊して噛み砕き、飲み込んでしまわないように注意すること
本郷どうぶつ病院
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