本郷どうぶつ病院

犬アトピー性皮膚炎Canine Atopic Dermatitis

1. 犬アトピー性皮膚炎の知識

2. 犬アトピー性皮膚炎の管理・治療

3. 犬アトピー性皮膚炎のよくある質問

2. 犬アトピー性皮膚炎の管理・治療

減感作療法 -体質改善的な治療-

減感作療法の特徴

・有効率 :約70~80%
・効果発現:遅い
・副作用 :アレルギー反応
・費用  :特殊な検査を行う必要があり、比較的高価

減感作療法とは

減感作療法とは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定し、それを逆に体内に少しずつ注射していく治療法です。これにより身体を徐々にアレルゲンに対して慣れさせ、過剰なアレルギー反応を起こさない体質に変えていくというものです。

アトピー性皮膚炎の治療はほとんどが症状を抑える治療ですが、この減感作療法は体質を改善していく唯一の治療法です。

減感作療法の良い点

体質を変えるという点が最大の特徴です。一定期間治療後、まったく治療が必要ない犬もいれば、維持として定期的に注射を継続していく必要がある場合もあります。

減感作療法の欠点

まずアレルゲンを特定する検査が必要です。従来は血液検査ではなく、皮内反応検査という特殊な検査を行っていました。体の横を15cm×7cm程度の大きさで毛を刈り、そこにアレルゲンの候補物質の抽出液を十数ヶ所注射していきます。そしてその皮膚の反応を見て、アレルゲンを特定します。この検査には通常鎮静を行います。また皮内反応検査を実施している動物病院は限られています。近年は血液検査の結果を基に減感作療法が可能となりました。鎮静も必要が無いため、選択しやすくなったといえます。

治療開始直後は複数回の注射が必要ですので、頻繁に来院する必要があります。治療開始直後は、治療による急性のアレルギー反応に注意します。

また効果が出たかどうか判定できるまで、2~3ヶ月かかります。すぐにかゆみを止めることはできません。

減感作療法の使い方

長期的な視野で根本的な解決を望む方には、強く減感作療法をおすすめします。ただし若い犬の方が効果が出やすいという個人的感触がありますので、高齢の犬にはあまりおすすめしておりません。

ハウスダストマイトによるアトピー性皮膚炎であれば、日本で開発された犬専用の減感作療法が受けられます。従来の減感作療法と比較しても安全性と有効性が高いと考えられています。また注射の頻度も従来の減感作療法よりも少なくなっていて、通院の負担も少なくなっています。

4. 犬アトピー性皮膚炎の管理・治療:免疫抑制剤(シクロスポリン)へ